都市の神社と季重なり　ー神社を中心とした改修による都市の再利用開発モデル

神社は宗教の枠を越え、人々の拠り所として機能してきたが、経営難により減少傾向にある。
菅大臣神社は敷地を切り売りし経営を保っているが、無骨な中高層建築や車に侵食され、俗世と神域の境界や広場機能が消失し、形骸化している。
この現状から脱却する為に過去へ執着するのでも、破壊し新築するのでもなく、形骸化を一つの歴史として許容し、既存建築の改修を通じて、神社とまちの境界面と、神域性を支える境界空間を再構築する。
3つの参道と既存建築のニーズを抽出し、既存建築の境界面の空間化と参道本来の広場性の立体化により、敷地境界線が不明瞭な空間を目指す。

価値のない、歴史を阻害していた建築を改修してまちを更新する、再利用開発とも呼べるこの計画を、時間の重層性の設計が生み出す他律的空間の可能性と、再開発に取って代わる時間軸継承モデルとして提案する。